2018年11月17日、立命館大学いばらぎキャンパスで行われた「行為をデザインするパターン・ランゲージ」の講義とワークショップに参加させていただきました。立命館大学長田尚子先生の主催で、講師はパターン・ランゲージについて研究・コンサルティングされている株式会社クリエイティブシフト阿部有里氏、ファシリテーターは慶応義塾大学SFCの井庭研究室の木村さんと金子さん。私以外の参加者は全員大学で教鞭を取っておられ、産学連携PBLに関わっていらっしゃる方々で、パターンランゲージの作成プロセスの基本的な考え方に触れ、産学連携PBL等のPBL型の活動支援に活かすことを目的にしたワークショップです。

パターンランゲージとは

長田先生から研究会の趣旨と長田先生が作成されたパターン・ランゲージについて説明の後、クリエイティブシフトの阿部さんによるパターン・ランゲージについての講義がありました。参加者は「パターン・ランゲージ」について学ぶのははじめての方が半数ほどでした。

パターン・ランゲージは、状況に応じた判断の成功の経験則を記述したもので、成功している事例の中で繰り返し見られる「パターン」が抽出され、抽象化を経て言語(ランゲージ)化されたものです。そういった成功の“秘訣“ともいうべきものは、「実践知」「暗黙知」「センス」「勘」「コツ」などといわれますが、なかなか他者には共有しにくいものです。パターン・ランゲージは、それを言葉として表現することによって、ノウハウを持つ個人がどのような視点で、どんなことを考えて、何をしているのかを、他の人と共有可能にします。

引用元:http://creativeshift.co.jp/pattern-lang/

パターン・ランゲージは何のためにするのか、というと、個々人のなかにある経験則を言葉として形式化し、パターン・ランゲージを介して対話をすることで、“今の対話で共有すべき成功の本質”を両者ともに理解しながら経験談を話し、聞くことができるようになります。聞いた人も、本質と、話者の状況ならではの具体エピソードを分けて聞くことができるため、本質を自分の状況に当てはめて、取り入れることができるようになります。また、「言葉」がなければ見えない現象を、認識することができるようになります。(これを井庭研究室では「認識のメガネ」と呼ぶのだそう)

パターン・ランゲージ作成のプロセス

  1. マイニングダイアログ(暗黙知を引き出したい対象にレビュー)
  2. 種の記述(コツと思われるものを拾いだす)
  3. クラスタリング(それぞれの近さや性質から、大きく分類し、採用・非採用を決める)
  4. ライティング(パターンランゲージを書く)
  5. レビュー(中間確認・書き方へのフィードバック)
  6. リバイズ(記述のブラッシュアップ)
  7. 構造化(抽象化・統合・切り捨てなどにより構造をとらえ、掻くパターンの位置づけを見直す)
  8. シンボライジング(構造化を受けて本質を表す名前、イラストを作成する)

本来は一つの工程に40時間かけるものもあるといいます。それを5時間のワークの中でマイニングダイアログ、種の記述、クラスタリング、ライティング、シンボライジングを各過程数十分程度で体験します。3テーブル(各テーブル5人+ファシリテーター1人)に分かれます。

マイニングダイアログ・種の記述


クリエイティブシフトでは実際の企業に依頼を受け、社員の方から上手くいっている例とうまくいっていない例をヒアリングし、パターン・ランゲージを作成しておられるそうです。実際のヒアリングの凝縮版として講師の阿部さんが中川先生(立命館大学)にヒアリングをしていただき(マイニングダイアログ)、参加者はヒアリングの内容からコツと問題点を発見し、コツ=黄色、問題点=青の付箋に書き出します(種の記述)。

クラスタリング

作成した「種」を「学生の立場」か「教員の立場」か、「過程」か「結果」なのか等同じ問題なのか別の問題なのか、重要性の程度を吟味し、最終的に2つのテーマについてパターン・ランゲージをライティングしていきました。

ライティング・シンボライジング

上の写真が最終的に3テーブルで出来上がったパターン・ランゲージ。
私のテーブルで採用したパターン・ランゲージは「マイ・ポジション」でした。
【context】チーム内に学生のモチベーションや意欲に差があるような状況
【problem】プロジェクトで困難な問題に出合った時、メンバーの一員であるという意識の低さから問題から逃げてしまう学生が出てくる
【solution】プロジェクト活動前に「自分がチームに何が貢献できるか」を言語化してチームメンバーで共有機会を作ります

ワークに参加して

私は教員ではないので、今回作成したパターン・ランゲージがそのまま使えるわけではありませんが、日々ライターとして言葉での表現をしているので、「コツや経験則を言語化」していく過程はとても面白く刺激的でした。
お茶のサイトのプロジェクトを進めるにあたり、たくさんの方に意見やアイデアをいただき、そのたびに「なるほど」と思い、採用できるものはすぐに採用しています。しかし、ともすれば表面的になったり、あれもこれもと欲張ると趣旨から外れてしまう危険もあります。自分自身の経験則の蓄積、いただいたアイデアをパターン・ランゲージとして言語化していくことで構造的に整理していくことが出来ると思いました。また、整理して積み上げていくことで目的に対し優先順位なども明確になりどう進めていけばよいかの指針にもなりそうですので、ぜひ活用していきたいと思います。

最後になりましたが、この度貴重な機会をいただいた長田先生、森田先生、上野先生、ご一緒させていただきました皆様、ありがとうございました!

参考

林夏子のはてしないお茶物語
https://www.hateshinai-ocha-monogatari.com/