「R18」や「遊郭」という話題を気軽に出してしまい、変な人だと大いに思われているとは思いますが、不真面目な意図があってそんな話題をしているつもりはなく、エロというのも真面目な文芸であるし、遊郭というのも真面目な歴史探訪だと真面目に思っている。ただ、好き嫌いが分かれる分野であると思うので、嫌いな人にゴリ押しする気は更々ない。

それでもあえて書かせていただくとすれば、皆さんが公然と要求される食欲物欲睡眠欲などと同等に性欲というものを神様が作ったのだし、子供だってその延長線上で初めて生まれてくるのだし、食欲だって貪れば醜い。それは性に関することも同じだと思う。ミロのビーナスの裸体がポルノでないのと同じ理由で、文学表現的エロは芸術として認められている。

一言でエロといっても、幅広い。
私が特に好きなのは、「エロ切ない」(注;筆者造語)ともいえる分野である。
昨年に流行った「夫の…が入らない」 もそのジャンルだと思う。遊女は存在自体がもうエロ切ない。そうでなくても、エロにまつわるあんなことやこんなことはたいてい切ない。そこに私は美しくて愛すべき人間らしさをみる。

その、エロ切ないジャンルの名手だと私が勝手に思っている音読の安藝さんがいる。彼の数あるエロ切ない作品の中でも定評のある「筆談セックス」。

ところが、先日(2018/2/3)大阪の南船場で行われた音読ライブでエロはなかった。常連のお客さんは皆どこでエロに転じるかを期待していたようであり、肩透かしのようでもあったようだ。いやしかし。彼は闘っている。挑戦しようとしている。壁を破ろうとしている。ファンの一人として、見守りたいし、大いに期待したい。

<参考サイト> 安藝悟

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