この8年間、毎日いつもそばで幸せにしてくれ、笑わせてくれ、ハラハラさせてくれ、もう昔ほどは抱きしめさせてくれなりそうな、でも私の心を釘付けにして止まない息子について。

赤ちゃんの頃から、いたずら好きで、モノを分解したり、色々なところにモノを突っ込んで壊したり、隠したり。外出するとすぐにいなくなる。言葉で何度言っても聞かない。とにかく、自由。思った通りに行動する。就園前の子育てはものすごく大変だと感じていたが、男の子だからこれくらいは普通かもしれない、と思っていた。しかし、幼稚園に入園させる段になってそうでもないことを知ることになる。

彼が満3歳児の頃、下の弟が生まれたタイミングで都内の私立幼稚園に入園させた。幼稚園の担任に「トイストーリーにでてくるシドみたいなちびっこギャング」だと真顔でいわれ、息子の存在はお利口に先生の指示にしたがうほかのお子さんの中で完全に浮いており、「保育料を3倍請求したい」とまでいわれた。(それでも、大変さを共有できる人が現れて私は嬉しかった)2年数カ月の園生活でようやく落ち着いてきたと周りが安心した頃、夫の転勤で静岡に突然転園させられ(と本人は感じていた)、静岡の幼稚園に転園した当初、半年間誰とも話さず、先生の声かけにも反応しなくなり、もちろん集団生活では異端児を貫いた。言葉を理解できているか、を心配され、専門機関を訪ねたり、方々相談に行ったし、そのころちょうど下の子も言葉の遅れを指摘され教室に通う必要がでてきたため、在宅で続けていたWEBや簡単なデザインの仕事を辞めた。自宅ではいつもの通り元気なものの、幼稚園の先生を散々困らせている息子。その頃の私はどうしていいのか糸口が見つからず、いつも泣き暮らしていた記憶がある。(そんな私を見かねて熱海温泉旅行を企画してくれた東京のママ友には本当に感謝している)

そんな息子も仲良しの友達ができたり、自由な息子を認めてくれる担任に出会ったりして無事に卒園した。小学校にあがって息子なりに成長し、先生の話はちゃんと聞いてこれるようになったし、友達もたくさんできて、ずいぶん立派になった。それでも授業中に先生の話を聞けてないことが多いと担任に指摘され、もしかしたら…やはり…軽度のADHDの可能性がある、というところで転校。

ADHDといっても症状は様々だが、息子の特徴として「耳からの情報が入りにくい」ということ。例えば、一度「宿題をやった?」といえば、テレビを見ていてもすぐに切り替えることのできる幼稚園児の次男と比べ、何度いっても長男は行動に移せない。まるで聞こえていないかのように反応しない。目で見て得た情報が強く行動に影響するとのことだった。息子は発想が自由で、能力的に劣るわけではない。もっと伸ばしてあげたいという個性に溢れている。でも、先生の話を聞けないと、面白く思わない先生も出てくるだろうし、通知表に響く。この先、生きづらいだろうな、と心配もある。

もっとも、多くの方にとっても、入り組んだ説明はことばだけでは理解できないことが多いのではないだろうか。私が司法試験受験生だったころ、法律概念の説明は、先輩や修習生にノートに手書きの図で説明してもらって初めて理解できたという経験がある。現在でも耳からや文字だけの情報では理解できず、図にして初めて頭に入ってくることが多い。難解な法律や経済の本を読むときはペンとメモ帳を傍らに置いてでないと読み進められない。そのため担当する法律のコラムでも図を作成して説明することが多い。

以下は相続財産は放棄によって共有持ち分が「遡及的に消滅する」という用語の説明のための図。言葉の説明だと、放棄により「遡って初めから無かったことになる」ということなのですが、わかる人にはわかるし、わからない人にはわからない。

そこで、箱に入った風船をイメージしてほしい。
相続の権利を持つ人たちの風船がそれぞれ相続財産という箱いっぱいに膨らんでいる。
これが、相続を放棄すると、放棄した人の風船がなくなり、それ以外の人の風船がさらに大きく膨らむ。これは図だが、モーションだとさらにわかりやすいと思う。

息子に対しても言葉での伝え方の工夫や息子自身のトレーニングはもちろん必要である。しかし、目で見てわかる情報で伝えてもらえると意思疎通がスムーズである。息子のような子供に限らず、子供は概して集中力が続かない。教育の現場では絵などで注意喚起やイメージを膨らませてあげることが有効なことは言わずもがなである。また、大学や一般向けの講義でも難解な内容が続くような局面では言葉だけの説明では難しい。

グラフィックというとデザイン会社の一流デザイナーが高額のデザイン料を元に作った美しい造形物を思い描くが、そんな凝ったものである必要も、美しいものである必要もない。内容が難解だけど重要だ、という局面では、ぜひ耳からの情報で説明するだけでなく目で見てわかりやすいものを用意してほしいと切実に願う。(今も昔も図を使った説明というのは多用されてきたと思うし意識の高い先生も多いと思う。また、先生方の負担を考えると、教科書に準拠してモーショングラフィックスを出版社が用意するとか、といった取り組みがあってもよいと思う。)

教育の現場にこそ、グラフィックスを。

(以下参考サイト。見つけ次第、随時追加していきます)

美しすぎるインフォグラフィック:

参考になりそうなインフォグラフィック:

※2018年2月19日追記
アドインを使えば、モーショングラフィックスもインタラクティブデザインもデザイナーでなくてもパワポがあればかなり作れる時代だなぁと感動した次第。