復刻版の「田山花袋の日本一周(前編)」に静岡の記事を見つけた。

日本全国を汽車で巡り、各地の景観、史跡などを写生的な文章で綴ったもので、前編(近畿・東海)、中編(中国・九州・四国)、後編(関東・東北・北海道)の3冊から成っており、博文館より1914年(大正3年)から1916年(大正5年)にかけて刊行された(wiki)


田山花袋の日本一周〈前編〉近畿・東海

(伊豆石)
…下田から半島の南端、石廊崎のほうへ行く途には、馬車が通っている。また其処等に石の出るところがあって、それを運搬する車が陸続として続いて来る…

(静岡市)
…静岡は県庁のある町の中では先ずあまり感じの悪くないほうの町である。徳川氏時代の保守的な空気が、今の新しい空気と好い塩梅に調和しているような町である。…しかし、町として県庁所在地として、決して活躍しているとは思われない。何処が引っ込み思案のような沈んだ空気がある。産業なども振るっていない。
旅客は、ここでは先第一に今川義元のことを頭に浮かべてみることが肝心だ。…

ちょうど百年前に書かれたもの。
伊豆の石切り場の稼働していた様子が分かる貴重な文献でもある。
しかし、静岡市内の様子は今とあまり変わらない気もしないでもない。
町の持つ空気や町の人の気質というのは人が変わっても大空襲で一旦焼け野原になっても変わらないのだろうか、と思うと大変に奥深い。