あなたからもらった
永遠の愛を誓うと約束してもらった指輪も
何周年目かの結婚記念日でもらったダイヤのネックレスも
あなたが好きなアーティストだといって私にくれたCDも
私があなたの本棚から拝借した恋愛小説も
セミナーの隣の席で私に貸してくれ、返し忘れたボールペンも

あなたからもらったものは
全部、返す。

 

でも、

 

一緒に過ごした幸せだった数年間
喧嘩ばかりした数年間
どうすれば一緒にいられるか悩んだ数ヶ月
身を切るほど辛い決断をした数日

あなたと過ごした時間と思い出は全部

一切返さない。
私だけのものだから。

 


仕事としてのライターの始まりは、とある法律の悩み相談のサイトの法律コラムを書く仕事で、今も継続している。しかし、不意にこのコラムを読んだ読者の解決の一助になるのだろうか、と無力感に襲われることがある。

法律の話はつまり、慰謝料、お金の話、である。

男女の別れ際の有名な台詞に
「時間を返せ」というものがある

そして、慰謝料は心の傷や時間をお金に換算して返してもらうものである。
しかし、そこに絶対的な無理がある。そこに法律の限界がある。

それなら、心理カウンセラーなら解決できるのですかというと、そうなのかもしれないし、そうでないのかもしれない。

人生に突如、巨大隕石が落下してめちゃくちゃに破壊された級の深い心の傷は、死ぬまで癒えるものではないと思う。
どうせ返ってこない時間なら、一緒に過ごした時間というレイヤーを自分のその先の人生に焼き付けて生きていこう。ゆっくりと。時間をかけて。

というようなコラムにしたほうが人の役に立ちそうだ、と思う。
でもこんな風に書くことは一介の法律ライターの私には許されていない。